「開業」というキャリア ~開業医のリアルに迫る~

全5回にわたって「開業に関する理想と現実」、「後継者問題、第三者承継の状況」「遠隔診療に対する意識」について、アンケート結果とともに読み解いていきます。

第5回【医師2010人に聞いた】今話題の「遠隔診療」に対する意識は?」

2018年10月01日
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 日経メディカル Onlineに登録する医師会員に実施した「開業と承継に関するアンケート」結果をもとに、「開業に関する理想と現実」や「後継者の問題」「第三者承継の状況」「遠隔診療に対する意識」などについて解説する本連載も、今回で5回目、そして最終回です。

 日経メディカルキャリアの松田です。今回は、昨今話題の「遠隔診療」に関する医師の意識について、読み解きたいと思います。

※この記事の元となるアンケートは2017年9月に実施しております。2018年診療報酬改定の結果を受け、「遠隔診療」に対する医師の意識が変わっている可能性もあるので本記事は当時の意識調査結果としてご理解いただければ幸いです。

「遠隔診療」はまだまだ様子見?! 一番票を集めた回答は…。

 「遠隔診療」への意識については、「医療は本来、直接対面診察すべきなので導入したいとは思わない」という回答がトップで、約40%の医師が「遠隔診療に否定的」という結果でした。また、回答の信頼性を高めるため、遠隔診療の経営判断に関わった経験のない、開業に興味の無い層(971人)を省いたデータからも集計しましたが、肯定的な回答が数ポイント上がったものの、こちらも否定的な意見がトップ(約36%)でした。

(グラフ1)グラフ1 遠隔診療への理解
(グラフ2)グラフ2 遠隔診療への理解

 自由記載の回答では、「現状で手一杯なので」「制度次第で考えたい」という意見も聞かれ、様子見の方が多いという結果になりました。

若手医師は「遠隔診療」に肯定的!開業前後で意識に差が出る?

 年代別の比率見ると、「遠隔診療」に対する理解は、若い医師ほど肯定的な意見の比率が高く、年齢が高い医師ほど否定的な意見の比率が高くなる傾向が顕著でした。

(グラフ3)グラフ3 遠隔診療x年代別

 また、開業準備の段階によって分類すると、開業の準備が具体的であればあるほど肯定的な意見の比率が高くなるものの、実際に開業をしてしまうと否定的な意見に転じるという意外な実態も明らかになりました。

(グラフ4)グラフ4 遠隔診療x開業医識別

 これは、開業準備段階では患者集めなどの不安も大きく、「遠隔診療」という新しい制度の導入に興味を持つ医師が多いのに対し、いざ開業してしまうと現状に満足、もしくは経験や経営状況から、否定的になるということが考えられます。

今後の診療報酬改定に注目

 以上のように、「遠隔診療」に対して、若手医師や開業準備中の医師はある程度興味を持っているものの、2018年の診療報酬改定でも加算点数の算定に関しては再診のみ、および対象疾患や治療期間6か月超という規定があり、保険診療のツールとしてはまだまだ費用対効果が不透明です。ただ自由診療の業界では対応するクリニックも徐々に増えています。「遠隔診療」が患者の負担軽減やクリニックの業務効率化に寄与することは確かなので、今後の診療報酬改定にも注目していきたいです。

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 想定より時間がかかりましたが、本連載「開業というキャリア」は今回が最終回となります。今後も、日経メディカルキャリアでは新しい働き方や「開業というキャリア」について、医師会員の意識調査などを織り交ぜながら最新情報をお伝えしていきますので、今後ともよろしくお願いします。

※実際の質問:

●再診時、訪問の代わりにスマートフォンやタブレット上で問診を行う「遠隔診療」が規制緩和により広がりつつありますが、「遠隔診療」に関して当てはまるものを1つお選びください。
(※「その他」を選択した場合は、右のテキスト欄に具体的にご記入ください。)
  • 1:既に導入している
  • 2:導入はまだだが、積極的に取り入れたい
  • 3:初診時も可能など、さらに規制緩和が進めば導入したい
  • 4:費用対効果で増収が見込めるのであれば導入したい
  • 5:医療は本来、直接対面診察すべきなので導入したいとは思わない
  • 6:その他