電子カルテアンケート
電子カルテ商品の「ランキング」や、「導入にあたってのホンネ」「使用中のカルテに関する不満点」についてアンケート結果とともに読み解いていきます。
この連載では日経メディカル Onlineの開業医を対象に実施した「電子カルテ関するアンケート」をもとに、「電子カルテの導入率やメーカー別シェア」、「導入にあたってのホンネ」「使用中の不満点」など、電子カルテの導入にまつわる様々な情報をお伝えしていきます。
今回は、今話題のクラウド型電子カルテの最新の普及率と、皆さんが一番気にされるイニシャルコスト、ランニングコストの比較について解説していきます。
直近のクラウド電子カルテのシェアは○○%!
電子カルテを導入しているという回答者のうち、クラウド型電子カルテを使っている比率は11%でした。この結果を見ると、まだオンプレミス型が主流であると言って良さそうです。
※オンプレミス型とは、院内サーバーを設置し、カルテデータを院内で管理する従来型の電子カルテシステム。クラウド型とは、専用回線(VPN等)も利用するものの、カルテデータはメーカーのサーバーで管理する常時通信型の電子カルテシステムを指します。

ただ、製品が増えセキュリティや品質も向上している背景もあってか、開業年数別に再集計すると、開業後5年未満の医師のクラウド型電子カルテのシェアは20%と高く、クラウド型のシェアは徐々にですが、高まりつつあるようです。
また、開業後21年以上の先生の中でもクラウド型のシェアは15%と、平均より高い結果になりました。これはオンプレミス型では限界のある、在宅診療等の院外での利用も見据えて機能的な理由から、紙カルテやオンプレミス型からの切り替えで、クラウド型の電子カルテを最近導入されたのではないかと予想されます。

もともと電子カルテ画面内の「ドラッグ&ドロップ」や「手書きシェーマ」、「各画像検査機器からのデータ連携」等はオンプレミス型の専売特許であり、ブラウザ上で稼働するクラウド型電子カルテでは機能が劣っていると言うことは隠しきれない事実でした。ただ、近年、先ほどの機能にも対応した高機能なアプリケーション導入型のクラウド型電子カルテも登場しており、また院外利用のニーズの高まりもあり、クラウド型電子カルテのシェアはこれからも伸びて行きそうです。
オンプレミス型、クラウド型、気になるイニシャルコストは?
次に、オンプレミス型とクラウド型を選ぶ際に、最も争点になるコストに関して、アンケート結果を元に読み解いて行きたいと思います。まず、製品ごとのイニシャルコストを問う質問に対し、もっとも多かった回答が、クラウド型では「50万円以上~100万円未満」、オンプレミス型では「300万円以上~500万円未満」となりました。

院内にサーバーを設置しネットワークを組む分、イニシャルコストはオンプレミス型の方がどうしてもかかってしまいますが、サーバーを設置しないクラウド型でも、セキュリティのため専用回線(VPN回線)を引いたり、専用機材としてパソコンは必要になります。また、導入時の訪問サポート等は別料金で設定される場合もあるため、導入の仕方によっては思ったほど少額ではないようです。
また、製品やシステム構成にもよりますが、オンプレミス型でも50万円未満という回答もありました。カタログ上の価格だけではなく、しっかりとした見積もりを取り、検討することが必要なようです。
ランニングコスト
同様にランニングコストに関してもアンケート結果を読み解くと、オンプレミス型では「3万円以上~5万円未満」という回答が最も多く、「1万円以上~3万円未満」という回答が次点でした。電子カルテを操作できる端末(パソコン)を何台準備するか、システム構成によってランニングコストは上下しますが、概ね1万円から5万円の間のようです。

対するクラウド型のランニングコストは「1万円未満」という回答が最も多いものの、「10万円以上」という回答も20%超あり、オンプレミス型を逆転していました。これは、カルテ1枚に付きの従量型や通常イニシャルコストとして必要な使用機材のリース代金も含む契約など、特殊な契約条件のもとで高額になったものと考えられます。
一般的に言われているように、今や「安かろう、悪かろう」ではなくなって来ているクラウド型電子カルテですが、プランやシステム構成によってはランニングコストがオンプレミス型よりかかってしまうケースもあるため、契約期間の5年や10年等の総コストでしっかりと見積もりを検討する必要があるようです。
※上記は弊社独自アンケート結果によるもので、契約内容やシステム構成により実際の見積もり価格とは異なる場合がございます。あらかじめご了承ください。
●貴医院では、電子カルテを導入していますか? 下記選択肢よりお選び下さい。
1:導入している
2:導入していない
●導入している会社の製品を下記の選択肢よりお選びください。該当のない場合や分からない場合は「その他」をお選びください。
(「 」内は代表的な製品名)
- 1:PHC(旧パナソニックヘルスケア)社「Medicomシリーズ」
- 2:ビー・エム・エル社「Medical Station」「Qualis」
- 3:ユヤマ社「BrainBoxシリーズ」
- 4:ダイナミクス社「Dynamics」
- 5:日立ヘルスケアシステムズ(旧日立メディカルコンピュータ)社「Hi-SEEDシリーズ」
- 6:キヤノンメディカルシステムズ(旧東芝)社「TOSMECシリーズ」
- 7:富士通社「HOPEシリーズ」
- 8:グローバルソフトウェア 社「イージーカルテ」
- 9:エムスリーデジカル社「M3 Digikar」
- 10:島津メディカルシステムズ社「SimCLINIC シリーズ」
- 11:EMシステムズ社「MRN」
- 12:ラボテック社「SUPER CLINIC」
- 13:アイネット・システムズ社「AI・CLINIC Revo」
- 14:NTTエレクトロニクステクノ社「モバカルネット」
- 15:シィ・エム・エス社「Doctor's Desctop3」
- 16:きりんカルテシステム社「カルテZERO」
- 17:三栄メディシス社「DearDr.Ⅱ」「Dr.Simpty」
- 18:蓼科情報社「NOA X」
- 19:LSIメディエンス社「m-KARTE」
- 20:亀田医療情報社「アピウスシリーズ」
- 21:セコム医療システム社「OWEL/ユビキタス電子カルテ」
- 22:エフ・カルテット社「fカルテット」
- 23:メディブレイン社「BRAINS」
- 24:システムロード社「RACCO」
- 25:いしだ社「いしだの電子カルテ」
- 26:クリニカル・プラットフォーム社「CLIPLAシリーズ」
- 27:ライフサイエンスコンピューティング社「Open Dolphin」
- 28:その他「その他(据え置き型)」
- 29:その他「その他(クラウド型)」
- 30:覚えていない、わからない覚えていない、わからない
●現在お使いの電子カルテのイニシャルコストはどの程度でしたか?
1:5万円未満
2:5万円以上~50万円未満
3:50万円以上~100万円未満
4:100万円以上~300万円未満
5:300万円以上~500万円未満
6:500万以上
●現在お使いの電子カルテは、月々どの程度のランニングコストがかかりますか?
1:1万円未満
2:1万円以上~3万円未満
3:3万円以上~5万円未満
4:5万円以上~10万円未満
5:10万円以上
「電子カルテ導入に関するアンケート」(日経メディカル Onlineの登録医師会員を対象に2019年3月18日から2019年4月28日までの延べ42日間実施。平均年齢58.1才、平均開業経過年数14.7年開業医248名による回答を集計。)