帰ってきた開業奮戦記(目黒 瞳)

本サイト連載の「開業奮戦記」でおなじみ、2008年に地元で眼科クリニックを開業した目黒瞳先生。開業からちょうど10年経った今、開業準備中や開業直後の様子を振り返りながら10年後の自分として今思うこと、これから開業しようと考えている後輩に向け伝えたいことを書いていきます。日経メディカル Onlineでも読めない、日経メディカル開業サポートだけの書き下ろし企画です。

第2回 10年前と一番変わったこと

2018/12/07 目黒 瞳
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 10年前の開業時と比較して、一番変わったことは交友関係です。

 開業前はそれまで勤務してきたところでいっしょだったドクターたちとの付き合いが多かったのですが、開業後しばらくすると人付き合いが少なくなり、なんとも言えない閉そく感のある日常になってしまいました。趣味らしい趣味もないため、休みの日はほとんど誰とも話さないときが多くなり、ちょっとこれはまずいのではとも思う日々が流れ…。

それが変わったきっかけはSNS!

 Facebook(以下FB)なんてやらないよーと思い、後輩から招待が来ても無視していたのですが、高校の同窓会幹事である先輩から「郵便代もバカにならないので、無料で連絡の取りやすいFBにぜひ参加するように」と言われ、先輩の言うことは聞かねばと使い始めました(ちなみにFB登録後に一番最初にやったことは、中高時代にカッコイイと憧れていた男子がどうしているかの確認でしたが、素敵なおじさんになっていました)。この業界は狭いですから、知り合いの知り合いぐらいでつながってしまいます。医療界に限らず、結構人間関係は狭い範囲で展開しているようではあります。さすがに全然知らない人で共通の友人が二人、というような人の友達申請は承認しませんが、共通の知り合いが数十人、そして学会や勉強会で名前を聞くような、専門領域のドクターから友達申請が来ると(私はあなたを知っているけれど、きっとあなたは私をどこかのドクターと勘違いしているはず)と思いつつも承認し、それなりに知り合いの人数は増えていきました。

 FB上で知り合いになり、勉強会で実際に挨拶して飲みに行くことなどが続くと、出身校も所属医局も専門もバラバラの、眼科以外のドクターも含めてお友達ができ、不思議な(素敵な?)医療界の交友関係が広がっています。このお友達がいると何が助かるかと言うと、ちょっとしたことで相談できることです。病気の専門家にはその病気のこと、開業医仲間では経営などに関しての質問も(これはどの検査で点数を取るのかとか、これはどう説明している?みたいな教科書にはないような話も)やり取りがあり、すぐに返事が返ってきます。そして専門外来、それも知っているドクターが診てくれる、という紹介がスムーズにできるようになりました。昔から言う「同じ釜の飯を食べた仲間」というのは、職場でいっしょに働いたという仲間だけでなく、ご飯友達もあるのだなあ、と思い、いまも食事会で交友関係を広げています。

もちろん、メリットだけでなくデメリットも

 良く知っているドクターのジュニアたちの活躍をFBで知るのも感慨深いです。ただ友達の投稿を見ていると、お金のかかりそうな遊びをしているのに嫉妬しますね。私もそれなりにプライベートにお金は使っていますが、世間一般に思われている開業医の収入には程遠いため、うらやましいなぁと思い、もやもやと悩みます。

 まぁ、私が本名でやっているFBでは楽しいことばかり書いているわけではないのに「開業って楽しそうでやってみようかな」と言われることがあり、現実と傍から見ているものは違うのは当たり前。華やかな生活を送っている人にも悩みやうまくいかないこともあるでしょう。嫉妬するならアカデミックな活動をしているドクターにしておいたほうが良いのかもしれません。

その他、身の回りの変わったこと

 勉強会が増えてよく参加するようになったのも10年で変わったことですが、これは製薬会社の接待がなくなったことにもよるのでしょう(私自身は接待らしい接待を受けたことはありませんが)。都内ですと同日に三つも開催されていたりします。真面目に参加して聞いていると、臨床眼科学会(眼科の学会で最大のものです)で目新しい発表がなくなってしまうのが悩みでもあります。この学会では一般演題を聞くことは少なくなり、インストラクションコースとシンポジウムが主体となっていますが、インストラクションコースは原則毎年同じ内容の発表のため、聞きたいものが減ってきています。製薬会社共催の勉強会は彼らが共催したい内容になりますので、偏った内容とは言わないまでも分野によっては勉強会が少ないものもあり、そういうところを学会で聞くと良いかもしれませんね。

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著者プロフィール

目黒 瞳(めぐろ ひとみ)氏

●生まれ育った地元で、2008年、眼科を開業。増えない患者数に不安になりつつ、はや10年!
 儲かりはしていないが、「やりたい診療」が出来て黒字ではあるので実は結構満足している。