開業はじめてものがたり

このものがたりは、とある大学病院に勤めていた皮膚科専門医が、ふとしたことから開業を志し、周りの人に助けられつつ悪戦苦闘しながら開業するまで。そして開業してからの様子を、時には感情的に、時には客観的に分析しながら綴った開業体験記です。もともとはタスク管理や備忘録的に始めた雑記でしたが、情報過多の昨今、開業準備の過程で迷う特に女医さんの背中を押すことができればと、ものがたり化しております。乱筆乱文ではありますが、ご愛顧いただければ幸いです。

第3回 開業コンサルティング会社との付き合い方 ~診療圏調査の冷たい現実~

2018/10/12 港 ひふみ
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診療圏調査とは

 開業を志して情報収集を始め、何人かのコンサルタントとのお付き合いが始まりました。開業に向けてはさまざまなプロセスがあり、1人で全てを取り仕切るのはとても難しいと思います。開業に向けて一緒に伴走をしてくれそうなコンサルタントを選んで、徐々に準備を進めていきました。

第2回で、どの開業コンサルティング会社も共通して言うのは「大事なのは物件、どこで開業するか」というお話をしました。そこで担当のコンサルタントが「診療圏調査」をしてくれました。

※診療圏調査とは、住民基本台帳など地域の人口に関する客観的なデータに基づいて、地域の患者さんの需要を予測することです。例えば、半径500m圏内に2万人が住んでいて、そのうち皮膚科を受診する人は統計的に「1日あたり何人」いるか算出します。さらに、同じ半径500m圏内や皮膚科を標榜しているクリニックがいくつあるのかを調べ、その数で割ると、予想される1日あたりの来院患者数が推測できます。

『日経メディカル開業サポート』簡易診療圏調査機能
簡単操作!1分で診療圏を+調査する+

調査の結果は…

 私は、できることなら自分が住む地域で「症状が軽い段階から相談に乗ってもらえる一般皮膚科」を提供したいと考えていました。担当コンサルタントに、「自分が住む地域」について診療圏調査をしてもらいました。その結果は…、1日あたりの来院患者数は「約5人」でした。寂しい数値です。担当コンサルタントは「これでは経営が成り立たない。もっと人口が多く皮膚科の需要が多い、そして競合の少ない地域を探した方が良い」と別の地域を提案してきます。

 開業支援を行うプロの提案です。理屈はわかるし、その通りだと思うのですが…。私は納得できず、ここから不動産選びの長い旅が続くのです。

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(つづく)

著者プロフィール

皮膚科専門医 港 ひふみ(みなと ひふみ)氏

●国立大学医学部卒業後、大学病院皮膚科などに勤務していましたが、最近開業医へ転身した一児の母。
両親や家族が開業医をしていたわけでもなく、強い開業医志向を持っていたわけでもない一人の勤務医が、 日々一喜一憂しながら、地域の皆様に愛されるかかりつけクリニックを目指して奮闘する姿をお伝えします。