開業はじめてものがたり

このものがたりは、とある大学病院に勤めていた皮膚科専門医が、ふとしたことから開業を志し、周りの人に助けられつつ悪戦苦闘しながら開業するまで。そして開業してからの様子を、時には感情的に、時には客観的に分析しながら綴った開業体験記です。もともとはタスク管理や備忘録的に始めた雑記でしたが、情報過多の昨今、開業準備の過程で迷う特に女医さんの背中を押すことができればと、ものがたり化しております。乱筆乱文ではありますが、ご愛顧いただければ幸いです。

第2回 開業ことはじめ ~大事なのは、どこで開業するか~

2018/09/28 港 ひふみ
Facebookでシェア ツイート

情報不足を痛感。まずは情報収集から

 開業を志したとはいえ、両親や親族に開業医がいるわけでもない普通の勤務医の私には、「開業に関する情報」が圧倒的に不足していました。何をどんな手順で進めればいいのか、見当もつきません。国家試験に合格すれば医師になれるのとは違い、開業医になるための試験や資格があるわけではありません。開業する医師、その専門、その地域など与えられた環境次第であらゆるやり方があります。

 「医師、開業」などのキーワードでネット検索してみると、たくさんの情報が出てきます。その中に開業コンサルティング会社が提供するセミナーや勉強会の情報を見つけ、まずは参加してみることにしました。

現在開催中の開業セミナーはこちら

共通して言われる言葉「大事なのは、どこで開業するか」

 セミナーなどを通じて、10人以上のコンサルタントの方にお会いしました。開業コンサルティング会社と言っても、いきなり費用が発生するのではなく、まずは「開業を志す医師向けの無料セミナーや勉強会」が開かれていて、そこで考えを聞いていくのです。

 どのコンサルタントにも言われた言葉があります。それは「大事なのは物件、どこで開業するか」だということ。医師の数は30万人を超え、ベッドの無い一般診療所も10万件を超えます。地域によっては医師不足と言われていますが、それでも必ず競争があるはずです。その地域で、自分の専門領域などの「需要のある地域で開業すること」に成否は掛かっています。

勤務医と開業医の決定的な違い

 同時に、実際に開業している先輩医師の方にもお話を聞かせていただきました。先輩と話して、改めて気づいたことがありました。「勤務医はあくまで雇われの身であり、開業医は自営業」だということです。

 当たり前のことかもしれませんが、これはとても大きな違いです。勤務医だったとしても勤務する病院の医療圏や患者さんのことを考える機会は多くあると思います。しかし、設定された曜日にやってくる初診や再診の外来診療を行い、担当する病棟の患者さんを診たりしても、あくまでそれは「与えられた条件」の枠の中です。

 開業医の場合は違います。ある医療圏のどんな患者さんにどんな医療を提供するか。その医療提供を通じて、自分たちのクリニックをどのように経営していくのかまで考える必要があります。どんな患者さんに来てもらい、外来診療をどのように提供するか。「与えられた条件」ではなく、「自らが条件設定する」方に立場が大きく変わります。

 この違いに気づいた時、私はワクワクしました。第1回に書いたように、私が提供したい医療は「症状が軽い段階から相談に乗ってもらえる一般皮膚科」と自分の中で非常に明確になりました。あとは、この医療を提供する「良い場所」を探すだけです。

 しかし、この「良い場所」を見つけるのが苦労の連続でした。次回以降はその顛末を振り返ります。

物件を探す
専門家に相談する

著者プロフィール

皮膚科専門医 港 ひふみ(みなと ひふみ)氏

●国立大学医学部卒業後、大学病院皮膚科などに勤務していましたが、最近開業医へ転身した一児の母。
両親や家族が開業医をしていたわけでもなく、強い開業医志向を持っていたわけでもない一人の勤務医が、 日々一喜一憂しながら、地域の皆様に愛されるかかりつけクリニックを目指して奮闘する姿をお伝えします。