開業奮戦記(目黒 瞳)

「開業のきっかけは?」「開業地域や物件を選ぶポイントは?」「開業資金は?」
「患者は来てくれる?」。理想に向かって診療所開業に踏み切った医師たちが、
日々悩み、悪戦苦闘する様子をリアルにお伝えします。

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

第71回 開業医はおちこぼれですか?

2019/01/11 目黒 瞳
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 患者数が増えない、周りのドクターにはいろいろ言われる・・・。それでも、なんとか元気を出して、自分が専門にしている分野の勉強会に行くことにしました。
 ところが、あるドクターに「え?目黒先生、来てたの?これ研究の話だよ。もう関係ないでしょ」と言われてしまいました。悪気なく言っているのが分かるだけに、非常に辛かったです。

 このドクターは日ごろから「開業医になると診療レベルが落ちるから自分は大学に残る」と言っています。以前も、この先生から「大学のミーティングに来てくれませんか」と誘われたとき、「その時間は診療時間内なので無理ですねえ」と断ったところ、「私は予定があるとき、バイト先の診療を早めに切り上げたり、誰かに頼んだりするよ。先生も代診立てるか、閉めれば来られるでしょ?」と言われました。ああ、これはもう開業医というものが分かっていないんだと思い、それ以上説明するのはあきらめました。

 開業医は、「医者がいつもそこにいる」ことを患者さんに約束している商売ではないでしょうか。私は自宅で開業していないので、夜間や休診日には診療しませんし、学会にも行きたいと思う方ですが、それでもできるかぎり決まった時間に開けていなければ、患者さんはついてこないと思います。

 よく大学病院の医師と比較して、開業医はアカデミックではないと言われます。確かに基礎研究を行う時間はありませんし、特殊な症例を診る機会は減り、グループ診療を行うのは難しい状況になります。でも、臨床医としてのレベルが落ちるかというと、それは別の話ではないでしょうか?開業医も決して研究に無関係ではないし、無関心であってもいけないと思うのです。

開業後の現在から「この時」を振り返って

今現在も依頼原稿の執筆は続いているのですが、「研修医および開業医を対象としたレベルの内容でお願いします。」と言われると、私は研修医と同じレベルなのかあ、とちょっと悲しくなります。開業してから英文論文は書いていませんし、研究も続けていないので、レベル的には研修医なのかもしれませんね。


連載の紹介

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

著者プロフィール

目黒 瞳(めぐろ ひとみ)氏

●生まれ育った地元で、2008年、眼科を開業。
 なかなか増えない患者数に不安になりつつ、後進のためになる話を記録に残そうと本連載を執筆。