開業奮戦記(目黒 瞳)

「開業のきっかけは?」「開業地域や物件を選ぶポイントは?」「開業資金は?」
「患者は来てくれる?」。理想に向かって診療所開業に踏み切った医師たちが、
日々悩み、悪戦苦闘する様子をリアルにお伝えします。

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

第69回 まぶたの痙攣が止まらない・・・

2019/01/11 目黒 瞳
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 開業して数カ月目のことです。
 レセプトの枚数が少ない上に患者さんもあまり来ないので、レセプト処理は外来中に終わってしまいました。診療終了後、「おいしいものでも食べに行こう」とスタッフを連れて出かけたのですが、行きたいレストランは、近所のもう一軒の眼科の側。患者さんが大勢来ているか気になるので、その辺りには近づきたくないのですが、行きたいレストランは結構美味しくて、私の家族も常連のお店です。

 気にしないようにしてレストランに行き、食べ終わった後、やっぱり気になって…。診療時間をすぎても、その眼科はまだ電気がついていました。「ああ、レセプトのための残業してる…」と外からその眼科を覗く私たち。「まるでマッチ売りの少女みたい」とスタッフに言って笑ったのですが、スタッフと別れて独りになった途端、なぜか涙が止まらなくなり、下を向いてとぼとぼと帰ったのでした。

 これがきっかけなのかどうかはわかりませんが、なかなか患者数が増えてこないストレスで、身体の調子も崩してしまいました。翌日から、開業時からときどき起きていた眼瞼痙攣(患者さんには「けいれん」と言っていますが、正確にはミオキミア。ストレスなどが原因で瞼がピクピク動くものです)が止まらなくなってしまい、今も悩まされ続けています。

 ストレスによる期外収縮も頻発するようになり、念のためいろいろ検査してもらったのですが大きな異常はなく、「希望すれば安定剤を出しますよ」と内科で言われてしまいました。

 普段は簡単に太るほうなのに、体重が落ち続け40kg台。高校卒業以来の低体重です。去年きつかった服が全部ゆるくなったときには、びっくりしました。

開業後の現在から「この時」を振り返って

悲しくて泣きながら帰ったことはおぼえているのですが、体重が減ったことは忘れてました。残念ながら最近は体重は増加傾向。ミオキミアは結局数か月続いていました。同じ症状に悩む患者さんが来院されると、「私も開業時にストレスで数か月続いていたんですよー」と話し、とても説得力のある診療になっています。


連載の紹介

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

著者プロフィール

目黒 瞳(めぐろ ひとみ)氏

●生まれ育った地元で、2008年、眼科を開業。
 なかなか増えない患者数に不安になりつつ、後進のためになる話を記録に残そうと本連載を執筆。