開業奮戦記(目黒 瞳)

「開業のきっかけは?」「開業地域や物件を選ぶポイントは?」「開業資金は?」
「患者は来てくれる?」。理想に向かって診療所開業に踏み切った医師たちが、
日々悩み、悪戦苦闘する様子をリアルにお伝えします。

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

第65回 クビにするのはつらい

2018/12/21 目黒 瞳
Facebookでシェア ツイート

 妊娠したスタッフはクビになるのでは、と心配していたようですが、そんなことはできません。私から「勤務が続けられなくなったり、出産後に復帰が難しいようだったら、その時相談しましょう」と提案したことで、本人は安心したようです。

 ところが残念なことにもう一人の派遣スタッフが、開業して3カ月を経過しても、全く仕事に慣れないことが判明しました。患者が1日10人も来ない外来でも受付をこなすのがやっとで、彼女には仕事をまかせられない状態です。「経験者を雇うので・・・」と説明し、派遣の契約を終了することにしたのですが、人をクビにするってつらいことだと知りました。

 派遣スタッフの彼女は医療機関での勤務は初めてで、どうやら「習ったこと以外のことは起こらない。外来は常に同じパターンで流れる」と思っていたようです。「外来は生身の人間が相手なので、いろんなことが起きる。資格や技術がないのであれば、経験を積んでいくしかない」と説明したのですが、「院長に気に入られればいい」と考えてしまうようでした。

 私が喜ぶようなことを言ってみたり、私の好きな食べ物を買ってきたり、という行動ばかりするようになり、「それよりも仕事を覚えて、患者さんのことを考えてほしい」という私の気持ちは伝わらなかったようです。

 意を決して「あなたに受付業務は向かないと思う。資格を取るか、他の職種を」と勧めたところ、「どうしても眼科で働きたい」と言う彼女。とりあえず、私の知り合いの眼科に紹介したのですが、結局すぐに辞めてしまいました。当院での残りの派遣期間も投げやりな仕事ぶり。ほとほと困ってしまいました。

開業後の現在から「この時」を振り返って

その後もスタッフ関連の悩みは続いています。「開業するまでは場所、開業してからはスタッフが悩みの種」とよく言われるのですが本当なんですね。

就業規則や給与計算、助成金申請は社会保険労務士等の専門家に!
日経メディカル開業サポートでも近日カテゴリオープン!


連載の紹介

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

著者プロフィール

目黒 瞳(めぐろ ひとみ)氏

●生まれ育った地元で、2008年、眼科を開業。
 なかなか増えない患者数に不安になりつつ、後進のためになる話を記録に残そうと本連載を執筆。