開業奮戦記(目黒 瞳)

「開業のきっかけは?」「開業地域や物件を選ぶポイントは?」「開業資金は?」
「患者は来てくれる?」。理想に向かって診療所開業に踏み切った医師たちが、
日々悩み、悪戦苦闘する様子をリアルにお伝えします。

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

第64回 「妊娠しちゃいました…」

2018/12/21 目黒 瞳
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 ある日のことです。いつもおしゃべりな常勤スタッフが今日はおとなしくしています。風邪でも引いたのかなと思っていました。
 外来終了後、私がレジ金を確認していると、彼女は泣きそうになりながら、「…、先生、ほんとにごめんなさい。妊娠しちゃいました…」と一言。

 ええっ!!独身だったのと、開業準備前からいつも一緒に行動していても彼氏の話が一切出なかったので油断していました。ずっと同棲していたらしいのですが、それを言うと雇ってもらえないと思って隠していたようです。

 スタッフが2人しかいないクリニックなので、産休の時期だけ休むにしても結構な痛手です。女性が多い職場では珍しいことではないと思うのですが、やはり休まれると困るということで既婚者を雇わない方針のところもあるようです。が、妊娠可能な年齢の女性であれば、いつでもあり得ることなんですね。

 最近は分娩を扱う施設が減っていて出産予約が取れないところもあると聞いていたので、彼女にはすぐに予約するよう勧めました。妊娠3カ月でしたが、やはり予約を取るのにはぎりぎりで。第1希望の病院には断られたそうです。

 入籍後に、さっそく保険証や雇用保険の氏名変更手続きを済ませ、次に出産前後の勤務について、就業規則とにらめっこしながら、本人と相談しました。

 産前6週間、産後8週間の産休は取れますが、雇い主が給料を払うかどうかは法律上の既定はないということで、無給としてあります。社会保険であれば、産休中は健康保険組合から通常の給料の6割程度のお金が支給されますが、国保(当院は医師国保に加入)の場合には支給されません。産後6週たって本人の希望があり主治医が許可すれば法律上、勤務可能です。

 産休中は無給となってしまうこともあり、彼女はできるだけ早く復帰することを希望していましたので、6週たったら仕事に戻ってもらうことになりました。幸い、つわりも軽かったので、妊娠中も普通に勤務を続けています。

開業後の現在から「この時」を振り返って

その後も妊娠するスタッフは出ています。育休手当をもらうためには一年以上勤務しないとダメなのですが、二人目も手当をもらうためには一人目の育休からどう仕事に復帰するのかスタッフもいろいろ考えるようですね。

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連載の紹介

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

著者プロフィール

目黒 瞳(めぐろ ひとみ)氏

●生まれ育った地元で、2008年、眼科を開業。
 なかなか増えない患者数に不安になりつつ、後進のためになる話を記録に残そうと本連載を執筆。