開業奮戦記(目黒 瞳)

「開業のきっかけは?」「開業地域や物件を選ぶポイントは?」「開業資金は?」
「患者は来てくれる?」。理想に向かって診療所開業に踏み切った医師たちが、
日々悩み、悪戦苦闘する様子をリアルにお伝えします。

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

第59回 増えない患者、減る貯金

2018/11/30 目黒 瞳
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 開院日こそ盛況だったものの、その後はさっぱりです。あまりに空いていて、クリニック前に路上駐車してハザードランプを点滅させたまま、診察を受ける患者さんまで出る始末。多いのは患者さんよりも営業さんという日が続きます。

 通帳の残高がどんどん減っていくのは胃が痛くなる思いです。開院時の雑費はあるし、家賃、スタッフの給料、公庫への支払い、リース料。毎月の支払いは当然、きちんきちんと出ていきます。そこに住民税支払いのお知らせも…。開業準備の時期にバイトで稼ぎすぎて、とんでもない額の請求が来ました。

 患者さんがゼロという日はまだないのですが、再来が2人しか来なくて、それもメガネ処方の再診という日も。その日1日の窓口入金は1000円ちょっと。かなりショックでした。

 窓口負担しか収入がない開院後3カ月は、「近隣に良いうわさを広げるとともに、スタッフを教育する時期」と自分に言い聞かせています。融資を受ける際に作った収支の推移表を眺めて、「年末のボーナスまでがつらい時期」と再確認もしました。

 「ここさあ、坂の上だから場所が悪いんだよ。老人来るわけないよね」
 こういうときに眼科医の先輩からこんなことを言われると、さすがにへこみます。何も開業しちゃってから言わなくても…。この先輩、開業前には「ここ、近くに眼科がなくて開業向けだよねえ~」と言っていたのに。

開業後の現在から「この時」を振り返って

この10年で誰も来なかった日は二回ありました。後進のために書いておきますが、患者数0でもショックを受けなくて大丈夫です。(そのときはショックですけれどね。)どちらも土曜日なのが謎です。通常混むと思われる土曜日ですが、当院の場合はものすごく来院数が多くて慌てる日と、とっても暇な日が混在していて、その動向がまったく読めません。

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連載の紹介

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

著者プロフィール

目黒 瞳(めぐろ ひとみ)氏

●生まれ育った地元で、2008年、眼科を開業。
 なかなか増えない患者数に不安になりつつ、後進のためになる話を記録に残そうと本連載を執筆。