開業奮戦記(目黒 瞳)

「開業のきっかけは?」「開業地域や物件を選ぶポイントは?」「開業資金は?」
「患者は来てくれる?」。理想に向かって診療所開業に踏み切った医師たちが、
日々悩み、悪戦苦闘する様子をリアルにお伝えします。

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

第38回 挨拶回りはローコストのPR

2018/10/05 目黒 瞳
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 医療機関へのご挨拶は、電話番号が決まってからでないと、こちらに紹介してもらう際に困るだろうと思い、電話が通じ内覧会のお知らせができてから行くことにしました。

 さて、どこまで回ろうかと思い、自分のクリニックを中心に半径500mと1kmの円を描いてみました。すると、1km圏だと隣の駅まで入ります。その駅の近くにはクリニック数軒と病院があるものの、近隣と言える医療機関のほとんどは500m圏に入ることが分かりました。そこで、500m圏に絞り、そのすべて(20軒弱)に挨拶に行きました。

 スタッフの健康診断をお願いするクリニックには、あらかじめ電話でアポイントを取って伺いましたが、ほかは朝イチあるいは午後の診療が始まる前に飛び込みで行きました。お電話すれば「来なくていいですよ」という先生も多いだろうし、自分が診療しているときのことを考えると、診療が始まる前の方が人に会いやすいからです。

 そうやって、ほとんどの医療機関に挨拶できたのですが、2カ所だけドクターに会えなかったところがありました。そこは、診療時間が始まっていてもドクターが出勤していないというクリニック。やはり、そういうクリニックは活気がありません。

 クリニックのほか、整体院、薬局、それから場所探しの際に手伝ってくれた商店街の方たちと、町内会の方にご挨拶しました。薬局には、自分がよく出す薬のリストを持参しました。どちらから挨拶に行くべきということはなく、院外処方を頼むならばパートナーになるわけなので、変なこだわりは持たず、ドクター側から行ってよいと思います。

 近くに4軒ある薬局の特徴もそれぞれ感じることができました。院外処方があまり出ていなくてOTCが主体の薬局、こちらが出す処方せんのままに処方する薬局、積極的に後発品に変更する薬局。いろいろとキャラが違います。

 近くの眼科にも挨拶に。意外に思う人も多かったようですが、別に敵になるわけではないし、挨拶して損になることはないと思います。

 開業の挨拶に全く出向かないというドクターもいるそうですが、菓子折と数分のご挨拶で、ご近所の方たちの意識に残るのであれば、ローコストのPRと考えることもできます。もっとも、菓子折代は10万円近くになったので、これをローコストと言うのは異論が出るかもしれませんが…。

開業後の現在から「この時」を振り返って

当院が開業して10年間、周りにいくつかクリニックが開業していますが、挨拶に来たところは一軒だけ。そして薬局は経営者が変わっても何も言ってこなかったので、患者さんから教えてもらいました。挨拶したほうが、と思う私は古い世代なのかもしれませんね。


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連載の紹介

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

著者プロフィール

目黒 瞳(めぐろ ひとみ)氏

●生まれ育った地元で、2008年、眼科を開業。
 なかなか増えない患者数に不安になりつつ、後進のためになる話を記録に残そうと本連載を執筆。