開業奮戦記(目黒 瞳)

「開業のきっかけは?」「開業地域や物件を選ぶポイントは?」「開業資金は?」
「患者は来てくれる?」。理想に向かって診療所開業に踏み切った医師たちが、
日々悩み、悪戦苦闘する様子をリアルにお伝えします。

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

第29回 女、七人の敵あり

2018/09/07 目黒 瞳
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 床の現状復帰の問題については結局、「コンクリートははがさなくてよい」という覚え書きを作って一件落着。

 「でも現状復帰が必要になるときには、私もTgさんもよぼよぼで(ほぼ同い年)、きっと覚えていないよ」と、内装の設計を引き受けてくれたTgさんに言ってみたところ、
 「いや、先生。年取って廃院じゃなくて、儲かって、もっと広いところに移る可能性も大きいでしょ?」  おお、Tgさん、強気だわ。まあ、よいことだけを考えましょう。

 ちなみに、実家で諸々のトラブルの経緯を話したら、
 「そういう心配かけるようなことは起こさないでちょうだい。眠れなくなるでしょ!」と母。

 いや、私がトラブルメーカーなのではなく、「仕事をする」ということはそれだけで「何か」が起きることなんです。特に自分で事業を起こそうとすれば、トラブルはつきもの。それらを解決した向こうに、やりがいのある仕事があると思うんだけどなあ…。結婚前は父親に、結婚後は夫に守られてきた母には理解できないことかもしれません。ちょっとさびしい。「男は敷居を跨げば七人の敵がある」と言いますが、女だって仕事をしていればそれ以上の敵、さらに見えない伏兵もいるんです。

 勤務医だった父にしても、「何だか、お前はどんどん強くなっていって、恐い…」とつぶやく始末。女だからって、一国一城の主となるからには、「良きに計らえ」じゃあダメなんだけどなあ。医療現場と同じで、トラブルが起きたら状況を把握して最善の策を見いだす。落ち着いたらトラブルの原因究明を…と繰り返していれば、強くもなりますって。

開業後の現在から「この時」を振り返って

年をとったせいもありますし、開業時のあれこれを経験して動じなくなりましたねえ。そして両親と上記のような会話をしたあとは仕事の話は一切しないようになりました。「何も言ってくれない」と不満そうではありますが。


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連載の紹介

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

著者プロフィール

目黒 瞳(めぐろ ひとみ)氏

●生まれ育った地元で、2008年、眼科を開業。
 なかなか増えない患者数に不安になりつつ、後進のためになる話を記録に残そうと本連載を執筆。