開業奮戦記(目黒 瞳)

「開業のきっかけは?」「開業地域や物件を選ぶポイントは?」「開業資金は?」
「患者は来てくれる?」。理想に向かって診療所開業に踏み切った医師たちが、
日々悩み、悪戦苦闘する様子をリアルにお伝えします。

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

第28回 図面と違うのに、費用はこっち持ち?

2018/09/07 目黒 瞳
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 私が契約したのは「スケルトン」と呼ばれる、天井も床も空調も、何もない状態の物件です。この物件の賃貸契約には、「契約を終了するには現状復帰戻し」という条件がついています。つまりは、「全部壊して元に戻せ」ということ。もし「居抜き」(建物、内装をそのままで、後継者に譲ること)で次のクリニックに譲る場合には壊さなくてもいいのですが、その分、「追加料金を大家さんに払うこと」という契約にもなっています。

 壁や天井は簡単に壊せますが、1つ問題なのが、(最終図面にはプラスマイナスゼロと書いてあったのに)4cm下がっていた床です。クリニックの内装に当たり、これでは困るのでコンクリートを流し込みました。契約を厳密に守るとすれば、出るときにはこれをはがさなくてはならないのです(ちなみに、この作業を「はつり」って言うんですね。初めて知りました)。これは大変な作業で、お金と時間がかかります。

 そこで、「コンクリートを流したのはそのままでもよいでしょうか?」と、不動産屋に嫌々ながら(また勘違いが起きそうなので)、電話しました。案の定というか、返ってきたのは「建物の設計事務所に連絡しましたが、『図面通りプラスマイナスゼロになっている。コンクリートを流すのはいいが、出るときには図面通りに戻すのが現状復帰である』と言われました」との答え。

 えーっ?! 現実4cm下がっているんですけど…。これがプラスマイナスゼロって、どこから測ってのゼロなの?と腹が立ちました。本当ならコンクリートを流す費用も建物側に持ってもらいたいくらいなのですが、この点を議論していてもしょうがないようです。

 そこで、奥の手で、大家さんに相談。
 「図面通りかどうかはさておき(本当はさておきではないんですが)、『将来、このコンクリートをはがさなくてもいい』ということだけはっきりさせたいんですけど…」
 「あら? うちの担当は『はがさなくてもいい』って言ってましたよ」

 また、不動産屋の伝言ゲームの失敗か…。

開業後の現在から「この時」を振り返って

この4センチは本当に謎です。ミキサー車頼んで費用がかかったことにTgさんが怒っていたのはよく覚えているのですが、きっと大家さんは忘れているでしょう。


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連載の紹介

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

著者プロフィール

目黒 瞳(めぐろ ひとみ)氏

●生まれ育った地元で、2008年、眼科を開業。
 なかなか増えない患者数に不安になりつつ、後進のためになる話を記録に残そうと本連載を執筆。