開業奮戦記(目黒 瞳)

「開業のきっかけは?」「開業地域や物件を選ぶポイントは?」「開業資金は?」
「患者は来てくれる?」。理想に向かって診療所開業に踏み切った医師たちが、
日々悩み、悪戦苦闘する様子をリアルにお伝えします。

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

第24回 まるで画像診断なしの外科手術

2018/08/24 目黒 瞳
Facebookでシェア ツイート

 業者の選定はともかく、内装を決める際に考える条件は診療科によって違いがあると思います。

 眼科では、視力は明室、診察室は明と暗の双方、眼底カメラおよび視野計は半暗室と、使う機器による照明の違いを考えなければなりません。視力測定のための距離の確保も必要です。手術はしないつもりですが、簡単な処置は必要なので、処置台あるいはベッドも入れます。こういった条件により、大体の設計は決まります。

 あとはカルテの収納です。カルテは最後の受診から5年は保存が義務づけられているので、このスペースをどうするかはどの施設でも悩みの種。電子カルテでペーパーレスにするドクターもいるくらいですが、私はいろいろなところでのバイト経験から、「紙をパラパラとめくる感覚がないと、時間的経過を把握しにくい」という点が気になりました。そのため、カルテと電子カルテを併用することにしたので、かなりの棚を作ることにしました。

 設計の大きなポイントは、X社で初めに聞いたように、排水でした。いろんなところの内装を注意して見れば、変なところに段差があったりするのに気がつくと思いますが、あれは給排水のためです。

 どこにでも排水できるということは非常に少ないようです。今回の物件は、地下にピットと呼ばれる作業用の空間があり、床に穴を開けさえすれば地下で配管をつなげられる構造。穴が開けられる場所ならば、トイレや手洗い水道を設置することができました。

 もっとも、見積もりをお願いした内装の業者さんは、こういったことを全く確認しないまま、設計図にトイレの位置を決めていました。これも変な話ですよね。ただし、最終的に頼んだTgさんが引いた図面でも、建物に梁があったりして、水道の位置は途中で変更することになりました。

 というか、以前にも書きましたが、建物のそういった基本情報を内装業者に伝えないのが普通というのは、建築業界って変ですよね。まるで、画像診断なしに脳外科手術を行うようなものだと思うんですが。

開業後の現在から「この時」を振り返って

設計図をもらったものの、実際と大きさが異なってひどい目にあったフレンチビストロの話をコメントで書きましたが、そういうことは結構あるようです。設計図は単なる目安なのでしょうか…?


目黒瞳先生も悩む内装業者、医療に強い内装・設備会社はこちら
戸建て、土地探しから相談する場合はこちら

連載の紹介

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

著者プロフィール

目黒 瞳(めぐろ ひとみ)氏

●生まれ育った地元で、2008年、眼科を開業。
 なかなか増えない患者数に不安になりつつ、後進のためになる話を記録に残そうと本連載を執筆。