開業奮戦記(目黒 瞳)

「開業のきっかけは?」「開業地域や物件を選ぶポイントは?」「開業資金は?」
「患者は来てくれる?」。理想に向かって診療所開業に踏み切った医師たちが、
日々悩み、悪戦苦闘する様子をリアルにお伝えします。

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

第20回 家賃は出て行く…。急げ、内装!

2018/08/24 目黒 瞳
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 建物の外側ができれば内装に取りかかれると最初は思っていたのですが、建物自体、完成した後に消防などの認可を受ける必要があるようです。その後に賃貸契約をして、やっと内装工事が可能になるということでした(だから、建物を施工する業者に、早めに工事できるところはやっておいてほしかったのです)。

 となると、かなり忙しくなることに。1月に賃貸契約が開始となった場合、保健所のチェックが通る段階までの内装工事を1月末までに終わらせて、保健所に開設届けを提出。社会保険事務所に保険診療の指定申請をして、ようやく3月から保険診療が可能となります。1カ月の突貫工事で認可が下りるところまで何とか進め、細かいところはその後で、という感じです。それでも、収入なしで家賃だけ出て行く期間が2カ月。

 社会保険事務所の申請受け付けは月1回なので、下手をすると開業がさらに延期になってしまいます。医療施設の建築を請け負ったことのある業者さんならばその辺の事情は察してくれるのですが、そうでない業者さんなら要注意。内装に数カ月ものんびりとかけていては、家賃だけがどんどん出ていくことになってしまいます。

 スタッフが少ないので、待合室や検査の空気がすぐ分かるような設計を望んだのですが、昨今の保健所は患者さんのプライバシー保護と用途別の区画に非常にうるさく、待合室と診察室、検査の場所はドアで仕切るように指導されます。極端な例では、視力表が2台あれば、その間も壁で仕切るように言われることがあるそうです。

 ただ、保健所の指摘を満たすのは現実的には無理だったり、視力が衰えているような患者さんに危険が及ぶ設計になってしまうことがあります。そのため、妥協点を設計側と保健所で見いだしてもらう必要があります。

 医療建築に慣れている設計事務所だと、まず設計が決まった段階で相談に行ってくれます。しかし、初めての場合、届け出に行って大幅な直しを迫られて、着工は当然遅くなり…ということになりかねません。業者選びは非常に重要なのです。

開業後の現在から「この時」を振り返って

保健所のチェックは本当にポイントだけ押さえていれば大丈夫なので(後で出てきますが、医療機器などなくても問題なし。)、1ヶ月に一回の社会保険事務所の申請日をはずさないことです。これを知らずに開業し、すでに開院日も決めてしまったためしばらく自由診療(とは言うものの患者さんからは全額いただけませんので保険負担分だけとして)になってしまったクリニックもあります。


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連載の紹介

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

著者プロフィール

目黒 瞳(めぐろ ひとみ)氏

●生まれ育った地元で、2008年、眼科を開業。
 なかなか増えない患者数に不安になりつつ、後進のためになる話を記録に残そうと本連載を執筆。