開業奮戦記(目黒 瞳)

「開業のきっかけは?」「開業地域や物件を選ぶポイントは?」「開業資金は?」
「患者は来てくれる?」。理想に向かって診療所開業に踏み切った医師たちが、
日々悩み、悪戦苦闘する様子をリアルにお伝えします。

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

第19回 図面と違って、がっかり…

2018/08/24 目黒 瞳
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 前回まで紹介したように、開業資金の調達はさほど難しいものではありませんでした。なので、このまま順調に開業までこぎつけられると踏んでいたら、そうは行きません。まさか、内装工事でトラブル続出とは…。思いも寄りませんでした。

 内装の業者って、これまでお付き合いがないので、まずはどう決めてよいものやら…。数社に見積もりを出させることが基本とは聞いていましたが、建物自体を設計した会社に内装もお願いすると安くできて、その上、基礎工事の段階から内装のことまで配慮してくれるので、全体の工期が短くなるという耳寄りな情報も。

 それはいいと思って打診してみましたが、あっさりと拒否。「医療関係は設計したことがありませんから」という理由でしたが、本当かなあ…?

 内装業者さんと話しているとよく聞くのですが、建物と内装の業者との間で、連絡や調整がうまく行かないことは多々あるそうです。実際に私も別の施設で経験したことがあります。

 まず、建物の設計図をくれないことがほとんどだそうで、いったん引いた図面を工事に入った段階で直さなければならないというのは当たり前。さらに、内装に入ると建物の工事の手抜きがはっきり見えてくることも多く、結構イライラしました。新築で入る場合、できることなら建物と同じ業者に内装も頼む方が、手抜きをされないのでお勧めです。

 今回は設計図はもらえたのですが、最初にもらった図面と違うところがいくつかありました。給排水管が壁際に突然出現していて、かなり水音がします。うちの担当者がこれにはがっかりしてました。

 床の高さはプラスマイナスゼロと最終図面には書いてあるのに、数センチ下がっています。これはコンクリートで埋めないとダメで、費用と日数が余分にかかることに。

 天井は普通穴を開けて吊りますが、大抵は吊りやすいように配慮しているもの。それがまったくなかったそうです。ならば、打ちっ放しにできるような天井かというと、上の階の配管や配線がこれでもかというほど露出していて、とてもできるような代物ではありません。さらに、実際の工事に入ると、いろいろとトラブルが出てくるのですが…。内装の話、まだまだ続きます。

開業後の現在から「この時」を振り返って

と、書いていますが、建物のほうの建築にいろいろ不備があり大家さんが困っていたので、まあ頼まなくて良かったと今では言えます。
前にコメントしたフレンチのシェフは移転できたのですが、もらった設計図の計測が間違っていてワインセラーが小さくなってしまった、という悲しい事態になっています。戸建で開業した知り合いは遺跡が出たそうですし、建築にまつわるトラブルは本当によく起こることなのですね。(遺跡は誰にも責任がありませんが…。)
開業当時とちがい、今はFacebook等で簡単に自分の近況報告ができ、トラブル自体の解決にはつながらなくてもだれかと共有することができ孤独感は少ないと感じます。


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連載の紹介

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

著者プロフィール

目黒 瞳(めぐろ ひとみ)氏

●生まれ育った地元で、2008年、眼科を開業。
 なかなか増えない患者数に不安になりつつ、後進のためになる話を記録に残そうと本連載を執筆。