開業奮戦記(目黒 瞳)

「開業のきっかけは?」「開業地域や物件を選ぶポイントは?」「開業資金は?」
「患者は来てくれる?」。理想に向かって診療所開業に踏み切った医師たちが、
日々悩み、悪戦苦闘する様子をリアルにお伝えします。

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

第18回 お金を借りるのは診療より簡単?

2018/08/10 目黒 瞳
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 国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)のホームページにある「創業計画書記入例」を見ると、創業の融資を受けたいと考える人はさまざまなようです。それこそ「手作りが好きだから、お店をやる」みたいなレベルの人もお金を借りにやって来るわけです。私たち医師はこれまでの実績がしっかりとある専門職なので、開業についていろいろと聞かれても、胸を張って夢を語りましょう。

 私が詳しく聞かれたのは、開業場所を選んだ理由と、近隣の競合施設の有無でした。「生まれ育った場所だから」という理由は、非常に納得してもらいやすいものでした。

 融資は運転資金に当てるつもりでしたが、設備資金として申し込むと、女性の創業なので低い利率で申し込めるとのこと。せっかくなので、そのように手続きしてもらい、結局、1000万円を1.75%、5年の返済で融資が実行されました。

 お金の話は、勤務医にとっては非常に分かりにくく感じ、イライラして不安になりそうな話でしょう。ポイントは、「分からないことは素直に聞いて、説明してもらう」ことと、「収入は少なめ、支出は多めに見積もっておく」ことだと思います。値切るのは後でもできるので、開業を考え始めたら、どのような医療を行う施設にするか構想をはっきりさせ、何が必要かをリストアップしておくことをお勧めします。

 連帯保証人を頼んだり、リースとはどういうものかを教えてもらったり、一部は人に頼りましたが、基本的には誰にも任せることなく自分が動いて、すべてを把握するという中での金策でした。臨床医療は日々の鍛錬を伴う、ある意味アーティスティックなものですが、それに比べれば、お金を借りるなんて誰にでもできること…。と思えば気が楽になりますよ。

 勤務医の時代に保険診療の仕組みをきちんと理解し、業者さんと仲良くなっておくこともいろいろと効いてきます。結局、今回お世話になった業者さんのほとんどは以前からの知り合いでした。話が通じやすいんですよね。

 振り返ってみると、開業資金の調達はさほど難しいものではありませんでした。その後に待ち受けていた難題に比べれば…。

開業後の現在から「この時」を振り返って

開業もそうですが(数軒クリニックを経営されているドクターもいますが)、お金を借りることはそうそう人生の中で何回もあることではありません。なので、とまどうことも多いのですが、慣れない仕事というだけの話です。と、今では言えますね。


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連載の紹介

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

著者プロフィール

目黒 瞳(めぐろ ひとみ)氏

●生まれ育った地元で、2008年、眼科を開業。
 なかなか増えない患者数に不安になりつつ、後進のためになる話を記録に残そうと本連載を執筆。