開業奮戦記(目黒 瞳)

「開業のきっかけは?」「開業地域や物件を選ぶポイントは?」「開業資金は?」
「患者は来てくれる?」。理想に向かって診療所開業に踏み切った医師たちが、
日々悩み、悪戦苦闘する様子をリアルにお伝えします。

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

第6回 物件やっと見つかる。が…。

2018/06/28 目黒 瞳
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 商店街のTさんが「本当は貸したくないらしいんですが、ちょっとお願いしてみました」という物件を探してきてくれました。

 築30年近い物件なのですが、立地条件、広さは完璧です。医療機器屋さんと内装デザインの会社の人にも見てもらい、「うん、古いけどなかなかいいねえ」と皆でにっこり。

 ああ、ようやく決まるんだと浮き浮きしていたら、「その建物で開業している獣医さんが『やめたほうがいい』と言っている」と、これまた母からの情報。実際に聞いてみると、「雨漏りがするし、排水が非常に悪いので苦労しています」と聞いて、またがっくり。

 いろいろな状況を総合すると、オーナーはそろそろ建て直しを考えていたらしく、新しい店子に入られると困るという事情もあったようです。しかし、この話にはおまけがあって、「実は隣の家が建て直すそうで、1階を店鋪に貸したいみたいですよ。聞いてあげましょうか?」と獣医さんから耳寄りな情報。

 そこの大家さんとお話したところ、壊して建て直す予定なので、実際に開業できるのはだいぶ先になりそう。でも、もうしょうがないので、周りの物件に目を配りつつも、ここの完成を待つことになりました。ここの近くまで行くことがあると「早く壊せ~」と念を送る毎日が始まったのでした。

開業後の現在から「この時」を振り返って

 この古い物件はオーナーさんが亡くなりお子さんの代に変わっていますが、まだ建て直しもせず、私が入ろうかと考えた場所にも誰も入居せず、という状態です。手をつけるのが面倒なのかもしれませんが、上階にも空き部屋があっても気にしていない様子なのがちょっとうらやましい。商店街全体から考えると、一階の店舗部分がシャッター閉じたままなのはよくないのですが。


連載の紹介

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

著者プロフィール

目黒 瞳(めぐろ ひとみ)氏

●生まれ育った地元で、2008年、眼科を開業。
 なかなか増えない患者数に不安になりつつ、後進のためになる話を記録に残そうと本連載を執筆。