開業奮戦記(目黒 瞳)

「開業のきっかけは?」「開業地域や物件を選ぶポイントは?」「開業資金は?」
「患者は来てくれる?」。理想に向かって診療所開業に踏み切った医師たちが、
日々悩み、悪戦苦闘する様子をリアルにお伝えします。

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

第3回 地元開業の善し悪し

2018/05/24 目黒 瞳
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 見せてもらった物件がいまいちで、しょんぼり歩いているときに猫を発見。かまおうとしたのですが、逃げられてしまい…。

物件の見つからぬ日の街角に 我泣きぬれて猫とたわむる (ひとみ作)

 後日、クリーニング屋さんが、「おたくの瞳ちゃん、猫かまってて逃げられてたわよ」
と母に報告。これが育った街での開業の困ったところ。私のやっていることが全部筒抜けです。

 実家で夕飯を食べさせてもらおうと寄ったところ、なぜか異常にぶ厚い生姜焼き。
 「…いえね。お肉屋さんで、あんたの開業の話を奥さんとしていたら、旦那の方がスライスしていて、気付いたらこんなに分厚く切っていたのよ…。」

 うーん、なんだか混乱に乗じて肉を多く売られているような感じです。そして、梨やお菓子など、分量が中途半端な食べ物があります(当時は秋でした)。

 「Kちゃんが銀杏を毎年送ってくれるでしょ。大量にあるから、お裾分けがてら、あんたの開業話を相談しようと、お寿司屋さんに寄ったら梨をくれて、商店街のTさんのところに寄ったらマドレーヌが焼き上がったところだからって分けてくれたの」

 わらしべ開業状態だなあ。いつ院長になれることやら…。

開業後の現在から「この時」を振り返って

 今回の話に出てくるクリーニング屋さんもお肉屋さんも、もう廃業しています。他にも何十年もやっていた店舗で閉店したところが数軒あり、子どもの頃から知っている街が徐々に変化してきています。ただ住人のキャラは変わっていないかなあ、と来院する患者さんを見ていると感じます。


連載の紹介

※本連載は、過去(2008年1月~2009年9月)に「日経メディカル Online」内で掲載したものを、開業後10年を経た著者が一部加筆・修正、当時を思い出しながらの現在の感想を追記したものです。
一部、現在の状況と異なる点が含まれる場合もございますが、掲載当時の読み物としてご一読ください。

著者プロフィール

目黒 瞳(めぐろ ひとみ)氏

●生まれ育った地元で、2008年、眼科を開業。
 なかなか増えない患者数に不安になりつつ、後進のためになる話を記録に残そうと本連載を執筆。